MTBのホイールを組む 製作過程
2009.05.05作成
画像は写メなので、写りが良くないのはご容赦ください。
※組み立て過程を概略的に示したもので、詳細な組み立て方法は他サイトやショップなどで
確認してください。
愛車のマウンテンバイクを買ったのが、92年の1月。
もう17年も乗っていることになっていますが、
フレーム以外はパーツを交換しつつ、防犯登録もしなおして、乗り続けているのです。
パーツ交換のとき、毎回難儀するのが、スポークの張替えです。

今回はダメージの激しい後輪のスポークを張り替えることにしました。
スポークを組むときに、ホイール組み立てキットのマニュアルを読んでいくのですが、いまいちよくわからなかったりする…。
というわけで備忘録を兼ね、画像付きで組み立ての製作過程を示してみます。
準備するもの
【パーツ】
・スポーク
・ニップル
・リム(写真にはありませんが)
・ハブ(写真にはありませんが)
------------------------------
【工具類】
・ホイール組み立て台
・ニップルまわし
・マイナスドライバー
・ノギス(写真にはありませんが)
・メジャー
スポークの長さ計算
なにはともあれ、必要なスポークの長さを計算します。
当たり前の話ですが、スポークは"26インチ用"とかではなく、ミリ単位で売っています。
ショップとかで購入できますが、たいがいは注文することになるため、私はネット通販で購入しました。
で、注文する前に、どの長さが適合するのか。
ハブの大きさなども影響するため、事前にリムやハブの長さ・径などを測定して計算します。
この計算が結構面倒で、厄介だったりしますので、スクリプトで自動計算するようにしました。
スポーク、ニップルの材質はスチールやステンレスなどがありますが、今回はステンレスのものを使用することにしました。
リムのチェック
今回はリアのホイール作成ですので、左右の長さがことなる、おちょこ組みのスポークテンションになります。
組み立ての前に、若干チェックをしておきます。
↓チェックとしてはこんなところでしょうか。
・リムの変形がないかどうか。平坦なところ、テーブルの上などにおいたり、ガラス窓に押し当てりして、
  変形がないかを確認します。平坦な場所に置く場合は、一端を指で押してみて、反対側が浮き上がら
  ないか、5mm以上の浮き上がりであれば、歪んでいますので、使用は控えたほうがよさそうです。
  リムの変形は癖として残ってしまうことがあり、振れの原因にもなります。
・リムの孔数を確認します。ハブとスポークの孔の数に問題がないかを確認します。
・リムのスポーク孔をウエスなどで拭いて、汚れを落としておきます。
<注意>ニップルのネジ切りはゆるくなりやすく、一度締めたら、緩めないようにしてください!
ハブのチェック
前輪用のハブの場合はどちらでもかまいませんが、後輪のハブの場合は、まずギア側を下にします。
このときのハブのフランジにあいている上下のフランジのスポーク孔は同じ垂線にあるわけではなく、
半ピッチずつずれているのを確認します。
スポークをハブに通します
ギア側を下にしてハブを立てて持ったら、まず上側(ギア側の逆)のフラン時の上面から1つおきにスポーク
を差し込んでいきます。
フランジのスポーク孔を通ったスポークは、下側(ギア側)の孔には通さず、自然に垂れ下げておきます。(↓下の写真)

スポークをリムの通します
@まずリムにあいているバルブ孔の左隣のスポーク孔に1本のスポークを通し、先端のネジ部分にニップルを
ねじ込んで(仮止め)リムから外れないようにしておきます。(↓下の写真)

A @のスポークからみて左隣のスポークを、次は今差し込んだスポーク孔から、写真のように3つスポーク孔を
とばして、4つ目の孔に差し込みます。(↑上の写真)
これもまた、リムから外れないようにしておきます。
このようにして、9本のすべてのスポークをリムに通すと、スポークは放射状になります。
(↓下の写真)
反対側のスポークをハブに通します
次に、仮組みしたホイールをひっくり返して、反対側のスポークを組みます。
B @と同じようにフランジの上面から1つ孔おきにスポークを差し込み、ハブの縁に垂れ下げます。
(↓下の写真)

反対側のスポークをリムを通します
C Aと同じようにスポークをリムに通して、ニップルで仮止めします。
このとき既に通してある反対側のハブから出たスポークのすぐ左隣りのスポーク孔に通していることを確認
しないといけません。これが隣り合っていないと、リムのスポーク孔が、ギア側→ギア側→逆側→逆側→ギア側→・・・
となってしまうためです。ギア側→逆側→ギア側→逆側→ギア側→・・・となるのが正解です。(↓下の写真)
18本ともすべて通した後にホイールを上から見ると、2本ずつのスポークがペアになりながら放射状に張ってある
ことがわかります。
上側のハブフランジから出ているスポークが、左側に差し込んであり(↓下の写真で水色の●)
下側のハブフランジから出ているスポークが、右側に差し込んである(↓下の写真で橙色の●)

ハブをねじります。
Dクロス組の準備のため、リムはそのままに、ハブだけを時計と逆方向にねじります。
スポークがねじられて風車状になりますが、この形が基本になります。
指で軽くニップルを締めるなどして、孔からニップルが出るようにします。
押し込んだりニップルを軽く締めたり、ハブをしっかりひねったりするなどして、
すべてのニップルがしっかり孔から頭を出すようにしないと、この後の作業でスポークが届かなくなります。
スポークをクロスに組みます(ギア側)
Eさて、いよいよ作業も佳境にはいりました。
ハブのギア側が上になったままの状態で、上側のフランジに内面からスポークを差し込みます。いっぱいまで
引き上げた後、左側(Cとは放射する向きが逆方向)へ倒していきます。
今差し込んだスポークの隣のスポーク孔を1つ目として、左へ5つ目の孔から出ているスポークの下をくぐり
そのスポークがとまっている2つ左の空いている孔にスポークを差し込み、ニップルで仮止めしておきます。
このときに、Cで差し込んだときに仮止めしたニップルと、Eのニップルが同じ分だけ出ているようにします。
ホイールを組むときに重要な均等な作業にならなくなるためで、後の振れ取り段階でやると、歪な力が加わり、
チューニングがしづらくなるからです。
9本通しおわったら、ハブを軽くゆすったり、ニップルがリム孔から抜けて内側に頭がでているかどうかを
確認しておきます。
スポークをクロスに組みます(ギアと逆側)
F次にホイールを反対側に返して、ギアと逆側のスポークもEと同じように組んでいきます。
ただし、Fでは引き上げたスポークは今度は右に倒していくのが違いです。
組みあがったら、ホイールの回転角に対して鈍角になる左右のスポークは外側に、鋭角になる左右のスポークは
内側になっていることを確認してください。
これでホイールの仮組みは完了です。
オチョコ組み(オフセット組み)

前輪(フロント)の場合は、左右のスポークを均等に
張ればよいのですが、後輪(リア)の場合は、ホイール
を縦断する中心線に対して左右均等な位置になく、
ギア側のフランジは中心に寄ったところにあります。
これを「オチョコ組み」(オフセット組みとも)といいます。
オチョコ組みをすることで、ホイールにかかる力(トルク)は、
ギア側に対してかかってきます。
ギア側のスポークのほうが反対側に比べて、より直角に
張られてしまうからです。
それゆえ、ギア側のスポークをしっかり正しく調整されて
いれば、振れが出にくいメンテナンスフリーなホイール
になります。
スポークを張っていく
ホイールを振れ取り台にセットし、振れ取り台の中心に沿って、まっすぐに取り付けられていることを
確認します。ひとまず、ニップルのねじ込み量を同じ分だけにし、ニップルが孔からでるように調整するなど
します。
リムをゆっくりと回転させながらスポークのニップルを少しずつまわし、振れている箇所を探します。
振れている側にテンションが強くかかっているので、逆側のニップルを締めることで振れがなくなっていきます。